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【男はつらいよ】①寅さんに嫁さんが来てくれない!風水解説

『男はつらいよ』公開

『男はつらいよ』が久しぶりに公開しました。

寅さんファンは日本でもたくさんいると思いますので、2回にわたり寅さんについて風水分析してみます。

さて、【男はつらいよ】でロケ地となったとらや(くるまや)を見ていくことにしましょう。

過去記事でアニメにも風水は通じることを説明してきましたが、映画も風水パワーがあるとどうだろうかと感じている読者もおられることでしょう。

映画の場合は、アニメと違って実際にロケ地があり、現実にある不動産・建物があります。

ということは、現実に建てられている建物の風水パワーが、映画にどのように影響を与えているかがテーマとなってきます。物語自体はあくまでフィクションなので、現実の風水とフィクションが融合するのかを検証していきますから、楽しみながら読んでください。

ストーリーのあらすじ

「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」から掲載


この映画は1969年から公開され、主演の渥美清さんが亡くなる1995年まで作られて、三元九運では第6運と第7運の時期となります。

東京葛飾にある柴又帝釈天の門前町にある「くるまや」は当初は「とらや」というお店の名前だったようです。

寅さんはここの5代目店主と芸者との間に生まれた子供であり、正妻の子供ではありません。倍賞千恵子が演じる妹のさくらは、正妻の子供だから異母兄ということになります。
実は、さくらが生まれる前に正妻との間に長男がいたらしいのですが、若くして亡くなっています。元々は店主には3人の子供がいたということになります。

「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」から掲載


腹違いの子供同士とはいえ、寅さんとさくらは実兄弟以上の深い絆で結ばれていることが映画を見ていると、ヒシヒシと感じます。

『分かっちゃいるんだ 妹よ。いつかお前の喜ぶような偉い兄貴になりたくて奮闘努力の甲斐もなく、今日も涙の陽が落ちる。』
映画が始まると間もなくして、寅さんが歌うシーンが出てきますが、苦労を掛けている妹に

『いつも、すまないな。いつか幸せにしてやるからな!な!』
の想いが伝わってくる歌詞で、寅さんの人情が伝わります。

「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」から掲載


芸者の子供として生まれた寅さんですが、16歳の時に父親と親子喧嘩して家出して、それ以来放浪の旅を続け、テキヤの商売に就き、全国各地でお祭りがあると出稼ぎにいくという人生を送っています。

そんな旅の途中、20年ぶりに実家に帰ってきた寅さんですが、もう既に両親は亡くなっていて、店主の弟である「おいちゃん」が6代目となり、「おばちゃん」「さくら」の3人でお店を切り盛りしているところから物語が始まります。

風水解説していきましょう

さて、このとらやは明治20年(1887年)創業したということだから、第2運の建物(上の三元九運を参照)ということになります。

さて、間取り方位とチャートを見てみましょう。

① 敷地の形状

この写真は、お店の裏側でお隣タコ社長の朝日印刷所です。これを見ると南側にあたる朝日印刷所の敷地が出っ張っています。ということは、とらやの敷地は四角形ではなくて、南側が【欠け】ている形状だということが分かります。

南側が欠けていると九紫火星の象意が悪い方向で出やすくなりますが、象意のひとつに【後継ぎなし】というものがあるのです。
確かに6代目を継ぐべき人物だったのは、亡くなった正妻の長男か寅さんだったはずでしたが、長男は若くして亡くなってしまったし、寅さんも親子喧嘩の末、家を出ていってしまいました。

② お店の玄関

お店の玄関は西北を向いており、9・2となっており、向星2が重要な鍵となります。
6運では2は残念ながら衰星であり、悪い影響を及ぶすことになるでしょう。

2である二黒土星の象意は、妻、病気などの象意があり、かつ西北の場所に位置していることを注目しなければなりません。
西北は主人という意味を持つので、主人や奥さんが病気になりやすいということになります。
そして残念ながら5代目主人と奥さんは、寅さんが家出をして間もなく亡くなってしまいました。

③ トイレ

東に位置しており、かつ【張り】となっています。

トイレが建物全体から見て、張っていると「不浄張り」と言って、悪い影響を与えてしまうのですが、その張っている場所が東ということは、東は長男を意味しますので、長男の健康問題、ストレスやトラブルを抱えてしまうことにつながります。

物語でも、正妻の長男は亡くなり、もう一人の長男とも言える寅さんは、父親と折り合いが悪くなっているところを見ると、象意がはっきりと出ていると思います。

④ 浴室

浴室が西南方位にあり、かつ【張り】になっています。

西南方位は家相で言えば、いわゆる裏鬼門方位と言われる場所で、方位としては、母や妻を意味します。

第6運では西南を表す二黒土星は衰運にあるので、【張り】になっているため、悪い象意が強まると考えます。

その結果、妻・母が気苦労する、家庭内トラブルを抱えてしまうことになるのですが、5代店主は遊びが原因で芸者が寅さんを身ごもることになり、おそらく正妻である奥さんとトラブルとなったことでしょうから、奥さんも気苦労が多かったと推察できます。

⑤ 台所のコンロ

筆者撮影:寅さん記念館


台所のコンロも風水では重要な意味を持ちます。火は気を動かすので、どの方位を向いているかを検証する必要があります。

コンロの坐向は、坐6、向2で6・2の組み合わせです。

6は六白金星(乾)のことですが、のちほど寅さんの誕生日から割り出す四柱推命を説明しますが、生まれた年は昭和15年(1940年)です。

寅さんの本命卦は六白金星になりますが、コンロの火が六白金星である寅さんを攻撃してしまう関係です。大きな災いを呼ぶことにもつながりかねないことになります。
そういう意味では、寅さんが若くして家出をしたのは、実は寅さんの命を救っていたのかもしれません。

⑥ 玄関入った客席

筆者撮影:寅さん記念館


客席を見てみましょう。

客席は北方位と西北方位となっています。分宮法では北方位を重視するので、北方位の組み合わせである5・7です。

客席はアクティブな空間なので、向星7を見ます。
7の象意としては、良い意味では金運、コミュニケーション、芸能人、エンターテインメントでの成功という意味があり、悪い意味では、アルコール依存症、放蕩、淫乱、刑事事件、火災、喧嘩、スキャンダルなどの意味を持ちます。

この象意の悪い意味と良い意味を考えてみることに、寅さんが生まれたのは1940年だということです。
このときの三元九運では第4運であり、7はまだ吉星になっていません。
ということは、悪い象意が出やすいということになります。
寅さんは、父親と正妻の間に生まれた子供ではありません。父親が芸者の店に通い、懇ろになった芸者との間で生まれた子供だということです。
つまり、父親がアルコール依存症にまでなっていたかは定かではないですが、酒の勢いで男女の契りを交わした可能性が非常に高いということです。
こうして考えると、5代目主人がつい出来心で遊んでしまったのは、この7の影響を受けた可能性は大です。

一方、良い点を考えてみると、公開年は第6運ということであり、吉星で幸運を呼び込むエリアとなります。
柴又帝釈天の参道にある「とらや」はお陰様で繁盛しています。
寅さんはテキヤ商売しているせいか口は達者で人を楽しませるコミュニケーションは抜群でしたし、なによりこの映画はシリーズ化してエンターテインメント事業としては大成功を収めることができたのは吉星7のパワーでしょう。

寅さんの四柱推命を分析

さて、今度は寅さんの四柱推命を見て考えていきます。

人生にどんな影響を及ぼしたんでしょう?

1980年に公開された第26作目「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」で、伊藤蘭が演じるマドンナのスミレが定時制高校に通うのですが、寅さんはスミレのことが心配で心配で、毎日のように授業に押しかけていくシーンがあります。

そのうち、寅さんも入学したいと思ったのか自分も高校に願書を出すシーンがあり、そこに生年月日が出てきます。

もっとも、寅さんは中学校を中退してしまっているので、受験資格がなく、願書を受け付けてもらえなかったという落ちでしたが誕生日を知ることができます。

「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」から掲載


 
1940年で庚辰年

11月で丁亥月、

29日で丙子日

に生まれていますが、時間は不明です。

寅次郎という名前から、てっきり寅年生まれかと思っていましたが、違うのですね。

しかし、生月は亥となっており、亥と寅は支合の関係と言って非常に相性のよい十二支同士ということになります。

 
しかも団子屋のとらやの坐向は、巳山亥向の建物であり、亥方位からの気を取り込んでいるので、この映画において亥と寅は非常に関係が深かったということになります。
偶然にしても見えない気が影響を及ぼしたのではないかと想像できます。

それでは寅さんの先天運を見てみましょう。

年柱の通変星を見ると、偏財と食神があります。

偏財は財星のひとつですが、サラリーマンなど定職でお金を得るというよりは、商売や賭け事で得るお金を意味します。また偏財は妻や愛人をも意味します。

寅さんはテキヤ商売をしていましたが、そういう星を持っていたのですね。それに愛人ということで言えば、ご存知のように寅さんは父親と芸人の間から生まれましたね。なるほどです。

もう一つの食神は、食傷星のひとつで本来は穏やかで人気者になる星で、生涯に渡り食べることに苦労をしない星です。
16歳で家出したのもかかわらず、人気者の寅さんはすぐに仕事仲間とも打ち解けて仕事を始め、また実家に帰っても美味しい食事を家族と一緒に食べていますね。

改めて考えると、寅さん、仕事仲間や家族に囲まれて幸せです!

次に月柱を見ると、劫財と偏官となっています。

劫財の象意は奪い取るという意味を持ち、偏官は戦う戦士のような星です。
どちらもあまり良い星とは言えないですが、よく見ると丁(ひのと)と壬(みずのえ)があるます。これを干合(かんごう)と言って、下の表で分かる通り、丁と壬が揃うと【情に流れやすい】という意味が出てきます。

 
そうです!

すぐに頭にきて喧嘩をしてしまうのは偏官のくせだったのです。
しかも、干合して情に流れやすい、情にほだされやすい性格になってしまって、寅さんの性格を見ると、そのまま当てはまっています。

次に日柱の正官ですが、正官は正義感や礼節を重んじる性格です。

マドンナのためなら、損得を考えず何でもする、ほとんどおせっかいのようなあの正義感を持ち、また、礼節を考えないで寅さんをからかってくるタコ社長と取っ組み合いになるのは、この正官があるからでしょう。

筋が通らない、曲がったことが嫌いな性格そのままです。

ところで寅さんは嫁さんをもらうことはできない可哀そうな寅さんです。

毎回、マドンナが出てきたのに結ばれないなんて、なにか四柱推命で読み取れるでしょうか?

日柱を注目してみましょう。

日柱の十二支の位置は妻の位置でもあり、どういう奥さんをもらうのかを見ることができます。

妻の位置は正官ですが、これがよくないということでしょうか?

そんなことはありません。

正官自体は良い星です。しかしながら残念なことに隣の月柱が偏官であることを注目してください。

正官と偏官が四柱推命の中にあると、【官殺混雑格】と言って家庭を持つには難しいと言われます。

いわば落ち着かない家庭運を持っていることになります。

マドンナに恋愛感情を持っても実は恋人がいたとか、旦那がいたりして失恋することもあれば、逆に幸運にもマドンナが寅さんに恋愛感情が芽生えて上手くいきそうだと思いきや、寅さんの方が、腰がひけてしまいチャンスを逃してしまって、お嫁さんをなかなかもらえない話もいっぱいありましたね。

そんな寅さんを見て、こちらが『男らしく決断しなさい!』と言いたくなる場面もありましたね。

さて、次に寅さんの後天運も見ていくとしましょう。

算命学や四柱推命では大運天中殺という考えがあり、人生の中で20年続く時期があります。

大運天中殺と言うと、なんだか怖そうなイメージがありますが、実はそうだとは限りません。この大運天中殺の時期は、良いも悪いもどちらにも大きく動く時期です。

いわば宇宙を遊泳していて足が宙に浮いて遮られることなく上にも下にも動くような状況で、大運天中殺に入ると思いがけないことが起こってしまうことがあります。

命式表を見ると、寅さんの場合は、第3運と第4運の20年間が大運天中殺という時期となりますね。

【男はつらいよ】が公開された1969年の第1作は41歳の設定であったらしいので、まさしく大運天中殺の時であり、正財が巡っていたので財を築ける時期とも重なり、あれよあれよと大ヒットしたのでしょう。

それともう一つ注目したいところがあります。

主演の渥美清氏が1996年に亡くなったことで、前年の1995年末のシリーズで終わってしまった訳ですが、1996年は丙子の年です。

ここで丙子の年と寅さんの四柱推命は、ある意味を持ちます。
寅さんの四柱推命の日柱が偶然にも同じ丙子と重なっているのです。
同じ丙子であることが分かります。同じ干支が揃うと【律音(りっちん)】と言って、律音は【新しい出発】を意味します。

新しい旅に出た寅さん!

渥美清さんが亡くなって、そのまま寅さんシリーズも終わっていますが、亡くなったという設定ではないですから、新しい旅に出たという解釈します。

昭和の高度成長期にシリーズが始まり、経済や企業利益が優先されて、国民が豊かになった反面、地方の過疎化、大都市集中して核家族による人間関係の希薄化につながり、また公害等の社会問題をも引き起こりました。

そういう高度成長期においては、それまで大切にされた家族愛や人情が後回しになってきていた時代です。

贅沢がもてはやされる反面、本当にこのまま突き進んだら日本は一体どうなるのだろうかと、心の底では思っている時代でもあったわけです。

そんな時代遅れ的な人情や義理を一番に大切にするキャラクターのイメージを引っさげてきたのが、寅さんだったのです。

『ザマ見ろぃ人間はね、理屈なんかじゃ動かねえんだよ。』
 
『どこにいたって、愛がありゃあ、天国なんじゃないの?そういうもんだよ。』
 
『やっぱり真面目にね、こつこつこつこつやっていきゃ、いつか芽が出るんだから。』
 
そう言って、一生懸命に働き蜂の日本人を勇気づけてくれました。

そして1996年という律音の年を迎え、既にその時は昭和から平成の時代に移り変わっていましたが、寅さんは役割を終えて、まさに旅立っていったのでしょう

『今、幸せかい?』
 
『さくらぁ。お兄ちゃんは旅にでるよ。』
 
そんなセリフが今でも聞こえてきます。

哀愁漂う寅さんに、是非嫁さんが来てほしいものです。

次回は、いよいよ寅さんの嫁さんをもらえる風水リフォーム対策編を書きますので、楽しみにしてください。
どんな「とらや」にリフォームしたら嫁さんが来てくれるのでしょうか!?

楳山天心先生(左)と筆者(右) 寅さん記念館にて


 

株式会社パルナスのHPもご覧ください


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